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Ruru saizeria.

変わってしまう何か変わり続ける何か

不安定な君が好きだよ

大体この時間は彼女から電話がかかってくる。
その電話をでると、
彼女は泣いているか、怒っているかのどちらかだ。
僕は今日は怒っているのか泣いているのかどっちだろうか、と考えながら電話にでた。
「髪色が気に食わないの。」と電話に出た途端挨拶もせず、彼女はそういった。

彼女は情緒不安定でよく髪の毛の色が変わった。
「夜中鏡を見て、これじゃないな、ってムカついてくるの。一回そう思うともうダメなの。今すぐ美容院に行きたくなる。」とよく吐き捨てるように言う。
僕に電話する前に彼女はもう明日美容院に行くことを決めているのにどうしてわざわざ電話してくるのだろうか。

僕は彼女に「今の色も僕は好きだけどなあ。」と手に持っていたボールペンをいじりながらいうと「気休めはやめて。他人の評価が全てなの。自分が可愛いと思っても、他人に可愛いと思われないと意味がないの。他人が私のことを見てくれて始めてそこで『評価』というものが私に下るのよ。その評価を貰うまで、安心できないの。」彼女はいつもそう言う。
僕だって他人だけど、僕は彼女にとってなんなのだろうかと思ったが言葉にせず飲み込んだ。
「そうか、今日は寝れそうかい?」「ええ、電話して話したらスッキリした。ありがとう。また新しい髪色になったら1番に会いたいわ、明日の夕方暇?」僕はこうなるんだろうなと薄々思っていたが、「うーん」と考えるふりを少しして「暇だよ」と答えた。
「ありがとう。また明日連絡するわ」と彼女は電話を切った。

このやりとりは一週間に一回はやる。大体金曜の夜にこうやって彼女から電話がかかってくる。
そして土曜日の夕方に会い、僕は彼女にいつものように、どんな髪色でも「似合ってるよ」と言うのだ。
さて、明日の彼女の髪色は何色だろうか。この間は綺麗なブルーだった。今日はそれを考えながら寝よう。